【離放の章】第二話 石との出会い

出島へ向かう道すがらも、稽古は続いた。

秋なので、どんぐりはまとまって落ちている。
腰にさげた袋に入れておく。

手の中に五つほど持ち、木の近くに来たら指で弾く。

そして、手ごろな石を見つけると、それも拾い、懐に入れる。

ふと、頭目の言葉を思い出した。

「拾う目を養え」

須田は立ち止まり、地面を見た。

石はいろいろな形をしている。

丸い石。
平たい石。
軽い石。
重い石。
角のある石。

(なるほど)

須田は少し笑った。

手に取るたび、感触が違う。

枝先の木の葉を狙って打った。

カサ。

葉が揺れた。

手ごろな石を見つけては懐に入れる。
少し歩いて、葉を狙う。

当たったり、外れたり。

同じように投げたつもりでも、石が違う。

重さも、形も、飛び方も違う。

(同じ石は、二つとない)

それは石だけでなく、
人や出来事にも言えるのだと、
ふと思った。

須田はまた一つ拾った。

木の葉を狙って放つ。

パサ。

葉が落ちた。

須田は石を手のひらで転がした。

(石も一期一会だ)

道に落ちている石は、どれも一つきり。
次に同じ石には会えない。

どんぐりを拾う。弾く。
石を拾う。投げる。

そうして稽古をしながら、
須田は出島への道を進んでいった。

―― 続く ――

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