出島へ向かう道すがらも、稽古は続いた。
秋なので、どんぐりはまとまって落ちている。
腰にさげた袋に入れておく。
手の中に五つほど持ち、木の近くに来たら指で弾く。
そして、手ごろな石を見つけると、それも拾い、懐に入れる。
ふと、頭目の言葉を思い出した。
「拾う目を養え」
須田は立ち止まり、地面を見た。
石はいろいろな形をしている。
丸い石。
平たい石。
軽い石。
重い石。
角のある石。
(なるほど)
須田は少し笑った。
手に取るたび、感触が違う。
枝先の木の葉を狙って打った。
カサ。
葉が揺れた。
手ごろな石を見つけては懐に入れる。
少し歩いて、葉を狙う。
当たったり、外れたり。
同じように投げたつもりでも、石が違う。
重さも、形も、飛び方も違う。
(同じ石は、二つとない)
それは石だけでなく、
人や出来事にも言えるのだと、
ふと思った。
須田はまた一つ拾った。
木の葉を狙って放つ。
パサ。
葉が落ちた。
須田は石を手のひらで転がした。
(石も一期一会だ)
道に落ちている石は、どれも一つきり。
次に同じ石には会えない。
どんぐりを拾う。弾く。
石を拾う。投げる。
そうして稽古をしながら、
須田は出島への道を進んでいった。
―― 続く ――
