異国歩行の章

夢物語

【異国歩行の章】第三話 桃源郷、そして、てんぐ堂

須田は、手紙の配達をすませ、遅い夕食と情報収集の為、飯店へ入った。薄暗い店内には、酒と飯の匂いが混じり合い、木の床や柱がかすかに軋む音が響いていた。一人の客として席についた須田は、すぐにあたりを見回す。笑い声、酒瓶を回す手つき、箸の触れる音...
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【異国歩行の章】第二話 水面を渡る者

牌楼(ぱいろう)をくぐった先は、夜の東方街――の、はずだった。だが、そこにあったのは街道ではなかった。獣道のような、細い道。人が通った形跡はあるが、店も家も見当たらない。少し進むと、霧はいつのまにか薄れ、池とも、川ともつかない水面が広がって...
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【異国歩行の章】第一話 霧の門

須田が東方街へ向かう途中、いつのまにか辺りに霧が立ちこめていた。さっきまで見えていたはずの通りは消え、人の声も、荷を引く車の音も、遠くへ溶けていく。足音だけが、やけに大きく響いた。須田がくらす日ノ本には、昔からそう呼ばれている区分がある。交...