現世と異界を、ゆるやかに結ぶ境界の世界。
風が逆さに流れるとき、
夢の奥で鈴が鳴る。
森の梢に、小さな影が三つ。
すずめ天狗たちは、今日もてんぐ堂に集う。
ここは境界の片隅。
だが、その向こうには
まだ名もない広大な世界が広がっている。
すずめ天狗たち
山の風をまとい、
気配の揺れを読む三羽の天狗。
彼らは導くわけでも、支配するわけでもない。
ただ、兆しを知らせる。
囲炉裏の煙がまっすぐ立たぬとき。
池の水面が、わずかに波打つとき。
誰かの心が、静かに揺れたとき。
三寸坊。
平三。
辰三郎。
小さく笑い、
ときにいたずらをし、
ときに黙って見守る。
そのそばには、たいてい彼らがいる。

須田あゆむ
この世界を歩く、ひとりの旅人。
剣を振るうでもなく、
術を操るでもなく、
ただ歩み、響きを聴く。
夢のなかでてんぐ堂を訪れ、
すずめ天狗と出会い、
境界の気配に触れていく。
彼の物語は、この世界のもうひとつの流れ。

てんぐ堂
森の奥、気配の重なるところにある小さな堂。
囲炉裏の火がゆれ、
水が澄み、
風が抜ける。
ここは終着点ではない。
現界と異界のあいだにひらく境界。
その片隅に、てんぐ堂は在る。
てんぐ堂は、広い世界へひらかれた静かな起点。

入口
・物語から入る(すずめ天狗日記)
・須田の歩みを追う(須田夢物語)
・世界を知る(世界、人物、施設)
どこから歩き始めてもよい。
風は、いつもどこかでつながっている。