【離放の章】第四話 境界の石

空から、石が降っていた。

ぽつ。
ぽつ。
ぽつ。

小さな石が、音もなく降ってくる。
降る石はうっすらと光っている。

石が降る。
てんぐ礫か。

いや、ここは境界の里か。
てんぐ堂が見えた。

草地の真ん中に、大きな籠が二つ置かれている。

二手に分かれて、小さな影が飛び回っていた。
すずめ天狗たちだった。

すずめ天狗たちは、降ってきた石を拾っては、籠に向かって投げている。

ぽん。
ぽん。

まるで玉入れのようだった。

「入った!」
「はずれた!」

小さな声があがる。

次々と石を投げる。

空からは、まだ石が降っている。

ぽつ。
ぽつ。

一匹のすずめ天狗が石を拾い、言った。

「祈りの石だ」

須田は空を見上げた。

(村人の想いがこもっているのか)

石は静かに降り続いている。

水神祭で川へ投げた石。
村人たちの石。

それがここへ届いているようだった。

すずめ天狗たちは競って石を拾っては、籠へ投げる。

ぽん。
ぽん。
ぽん。

そのとき、一つの石が須田の足もとへ転がってきた。

須田はそれを拾った。

軽い石だった。

籠を見た。

須田も腕を振った。

ぽん。

石は籠の中に入った。

その瞬間、須田は目を覚ました。

川の音が、まだ静かに流れていた。

―― 続く ――

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