空から、石が降っていた。
ぽつ。
ぽつ。
ぽつ。
小さな石が、音もなく降ってくる。
降る石はうっすらと光っている。
石が降る。
てんぐ礫か。
いや、ここは境界の里か。
てんぐ堂が見えた。
草地の真ん中に、大きな籠が二つ置かれている。
二手に分かれて、小さな影が飛び回っていた。
すずめ天狗たちだった。
すずめ天狗たちは、降ってきた石を拾っては、籠に向かって投げている。
ぽん。
ぽん。
まるで玉入れのようだった。
「入った!」
「はずれた!」
小さな声があがる。
次々と石を投げる。

空からは、まだ石が降っている。
ぽつ。
ぽつ。
一匹のすずめ天狗が石を拾い、言った。
「祈りの石だ」
須田は空を見上げた。
(村人の想いがこもっているのか)
石は静かに降り続いている。
水神祭で川へ投げた石。
村人たちの石。
それがここへ届いているようだった。
すずめ天狗たちは競って石を拾っては、籠へ投げる。
ぽん。
ぽん。
ぽん。
そのとき、一つの石が須田の足もとへ転がってきた。
須田はそれを拾った。
軽い石だった。
籠を見た。
須田も腕を振った。
ぽん。
石は籠の中に入った。
その瞬間、須田は目を覚ました。
川の音が、まだ静かに流れていた。
―― 続く ――
