【絆響の章】 第三話 法螺貝の三音

水の道場へついた。
いつもながら、気配が薄いところだ。

道場に入り、頭目に挨拶をする。

「鎖の音が響いてたので須田とわかったよ。
 相変わらず鎖を修練しているのだな」

「飯綱山は登ったか?」

初めて聞く山だ。

「いえ」

「行ってみるとよいぞ。
 ところで、今日は何か学びにきたか?」

「はい。
 法螺貝の吹き方を」

頭目がじっと見つめてくる。
何かを見透かす目だ。

「……嘘のつきかたか?
 忍びとして大事だな」

「ん?
 法螺を吹くといえば、大ウソをつく事か!」

「いえ。
 法螺貝の音の出し方です」

「法螺貝は“立てる”という。
 まーどっちでもよいか。
 貝を持って外に出ろ」

外に出ると、頭目は法螺貝を手に取り、
音の出し方を教えてくれた。

唇の真ん中ではなく、
多くは左唇の端に吹き口を当てる。
これを「歌口」というらしい。

頭目は低い音、高い音、さらに高い音の
三音を鳴らして見せた。
本来は五音出すらしい。

その音の組み合わせで、
忍びは合図をするのだという。

そして、いくつかの合図を教わった。
音が出るわけではないが、
聞けば状況がわかるようになっている。

「……あとは修練だ」

そう言って、頭目は話を終わらせた。
風の道場もそうだが、水の道場もポイントしか言ってくれない。
あとは気付け、ということだ。

飯綱山。
行ってみるか。