夜、出島の外れで一人、石弓を思い出していた。
石弓は、まず弦を張る。
石を置く。
そして引き金を引く。
三つの動きだ。
カタパルトも似ている。
張る。
置く。
引く。
だが礫は、どうだろう。
握る。
振る。
離す。
同じ三つの動きのはずなのに、どこか違う。
石弓は、力を溜めてから待てる。
構えたまま、的を見続けられる。
礫は、溜めた力がすぐ逃げる。
迷えば、軌道が変わる。
(力を作るところが違うのか)
石弓は道具そのもので張る。
礫は、自分の中で張る。
もし――
力を作るところが無意識になったら。
狙うことも、離すことも、
一つになるのではないか。
そう思いかけて、須田は首を振った。
(そんな簡単ではないな)
石を拾い、軽く投げた。
カラン。
石は思ったより手前に落ちた。
道は遠いな。
―― 続く ――
