──忍武平法道が生まれた、静寂の池での出来事。
山の池のほとり。
大きな岩に腰を下ろし、須田は静かに瞑想していた。
風は弱く、
水面は鏡のように澄み、
森の気配は深い静けさに包まれていた。
そのとき──
古木の枝がわずかに揺れ、
すずめ天狗がふわりと降り立った。
須田は目を開き、
胸の奥が静かに震えるのを感じた。
すずめ天狗は、
風に乗せて静かに語り始めた。
その声は風のように軽く、
水面のように澄み、
響きのように深かった。
その場に居合わせた須田は、
天狗の言葉を一字一句逃すまいと耳を澄ませ、
その内容を静かに心に刻んだ。

やがて語り終えたすずめ天狗は、
「これは争いの術ではない。
響きと絆の道だよ」
とだけ告げ、
風とともに姿を消した。
須田はその言葉を一巻にまとめ、
後に「忍武平法道の巻」と名づけ、
山の祠に静かに納めた。
その巻に記された言葉は、次のとおりである。
忍武平法道とは、
波に乱れず、
鏡に曇らず、
響きに溺れぬ者の道である。
場を制せず、
場と響き合い、
その奥の根源を静かに映す。
それは争いの術ではなく、
絆響水鏡の思想に基づく、
共生と共栄の道。
そして、
融和へと至る道である。

