境界の里では、毎年この日になると、ちょっとした騒ぎが起こる。
そう、2月22日――
「ニン、ニン、ニン」の忍者の日か、
「ニャン、ニャン、ニャン」の猫の日か、
どちらを祝うべきか迷う日だ。
主役は、すずめ天狗の半三と、猫又の又蔵。
半三は忍者魂を背負い、風のように動く。
又蔵は猫又の器量で、ひょうひょうと忍び寄る。
この日に限って、境界の里では二人の“熾烈な戦い”が繰り広げられる。
……戦いと言ってよいのかは、少し疑問だが。
小さな障害物に飛びついたり、
竹林をぐるぐる走り回ったり、
時々お互いに水をかけ合ったり。

観客は、他の天狗たちと、木陰で見守る小鳥たち。
半三が忍び技で背後に回り込もうとするたび、
又蔵はぴょんと軽やかに逃げる。
「これは忍者の日のための訓練か、猫の日のための遊びか?」
そんなことを考えながら、
里は笑い声と気配のざわめきに包まれる。
2/22は、境界の里にとって特別な日。
誰も勝者を決めようとは思わない。
けれど、半三と又蔵が追いかけっこを終え、
竹林に沈む夕日の中で息を整える頃――
里全体が、いつもより少しだけにぎやかで、
少しだけ幸せな空気に満たされるのだ。
忍者の日か、猫の日か。
そんなことは二の次。
大事なのは、今日も境界の里が、生き生きとしていること。
