日ノ本は、物語の主な舞台となる列島の国である。
弓なりに連なる島々は山が多く、四季があり、海に囲まれている。
風俗は中期の武家時代に似るが、ここは史実の国ではない。
この地には古くから「気」と「境」の感覚が息づいている。
日ノ本は三界のうち、現界に属する。
しかし山や街、港の随所には境目の薄い場所があり、
異界の気配がかすかににじむことがある。
この国では、異界は否定されない。
境界は恐れられながらも、静かに尊ばれてきた。
日ノ本は、三界の均衡に近い土地である。
地と気の流れ
中央を霊峰が貫き、
川は東西へと流れる。
山は縦の軸となり、
街は横へと広がる。
港は外と向き合う場所となり、
異なる歩みが触れ合う。
人々はその流れの中で暮らし、
知らず知らずのうちに位相の揺らぎを歩いている。
東方街(とうほうがい)
南東部に広がる異国風の町。
東方の文化が色濃く根づいている。
石畳の路地、門楼、茶館。
円を描くような暮らしと養生の術が生活に溶け込んでいる。
現界の町でありながら、
ときに境界がやわらかくにじむ場所でもある。
出島(でじま)
西岸の沖に築かれた小島。
西方との交易が行われる窓口。
石造りの建物と異国の言葉が行き交い、
直線的で合理的な気風が流れ込む。
ここは現界に属するが、
西方の歩みと接する継ぎ目でもある。
飯綱山(いいづなやま)
北方にそびえる霊峰。
古くから修験の山として知られる。
深山では気が濃くなり、
現界と境界の差がわずかに揺らぐ。
己を整えるための山である。
日ノ本の役割
物語はここから始まり、
やがて外へと広がる可能性を持つ。
日ノ本は、
気が交わり、歩みが静かに始まる国である。
