雀のお宿(すずめのおやど)

雀のお宿は、隠世(かくりよ)の山域にひっそりと現れる、小さな旅籠である。

隠世とは、現世と異界のあいだにある“境目の世界”。
音や光、時間の流れがわずかに変わり、気配が前に出てくる領域。
雀のお宿は、その隠世の山の端に静かに姿を現す。

山道を歩いていると、風の向きがふと変わり、
音が遠のき、気配が沈む瞬間がある。
その一歩先に、霧が晴れるようにして宿が現れる。

ここは、迷い込んだ者をもてなし、
ときに小さな“試し”を差し出す境界の宿である。

【象徴と性質】

象徴:もてなし・試し・境界のゆらぎ
性質:異界の広がり・気配の変容・静かな歓待

雀のお宿は、訪れた者に褒美を与える場所ではない。
ただ、その人の気配に応じて、
必要な体験をそっと差し出す。

もてなしは優しいが、
ときに境界特有の“ゆらぎ”が混ざる。

【立地】

・深い山の奥、現世の道が細くなる先にある
・周囲に他の建物はなく、村の気配もない
・隠世の裂け目が開いたときだけ姿を現す
・すずめ天狗たちが時折訪れる静かな山域

【外観】

・古い木造の旅籠のような一軒家
・外観は小さいが、気配が深い
・軒先の鈴は、風がなくても微かに鳴る
・夜は淡い光が漏れ、虫の声が遠のく

【内部】

外観からは想像できないほど広い。
これは隠世の建物に共通する「内側が広がる構造」によるもの。

■ 宴会の間
雀たちが踊り、歌い、訪れた者をもてなす場所。

■ つづらの間
大小のツヅラが並ぶ部屋。
選ぶのは自由だが、中身は“その人の気配”に応じて変わる。

■ もてなしの座敷
お茶や団子が出される静かな部屋。
ここでは時間の流れがゆるやかになる。

■ 気配の間
心の濁りが静まり、本来の気配が浮かび上がる小さな部屋。
すずめ天狗が羽を休めることもある。

【住人】

■ 舌切り雀
現世で傷を負い、境界へ引き寄せられた“隠世の民”。
普段は雀の姿だが、もてなしの時は人の姿にもなる。

■ 雀のお宿の雀たち
・気配が柔らかい
・人を驚かせることはあるが、害はない
・境界のゆらぎを整える役目を持つ

【温泉(新たに湧いた兆し)】

隠世の気配が濃くなったことで、最近になって温泉が湧いた。

・とろりとした湯
・気配を整える“調律の湯”
・湯気の中に小さな光が漂うことがある

温泉は、境界の変化を示す“兆し”でもある。

【つづら(試しの贈り物)】

・小さいツヅラ:穏やかな気配
・大きいツヅラ:強い気配(時にお化けが出る)

これは罰ではなく、境界の“試し”としての贈り物。

【雰囲気】

・静かで柔らかい
・時間の流れがゆるやか
・遠くの音が遠のき、近くの気配が近づく
・ふと懐かしさを感じる
・すずめ天狗が時折訪れ、羽を休める