気合、気配。
どちらも「気」が関係していると感じる。
そういえば、風の道場で気について耳にしたことがある。
――風の道場で聞いてみるか。
そう思い、須田は風の道場へ向かうことにした。
山道を歩く。
旅の疲れが体に残る。そろそろ野営地を探す時間だ。
そのとき、かすかに、あの気配がした。
狭い木と木の間を、黒い忍び姿がすっと通り過ぎていく。
須田は急いで後を追った。
少し進むと、すずめ天狗が二羽、木の枝に止まり話している。
須田は慌てて木の陰に身を潜めた。
「半三……久しいの。相変わらず向こうの世界を旅しているのか?」
「まーな。なかなか楽しいぞ」
「辰三郎は境界の里のはずれで何をしているんだ?」
「山火事になるような火種がないか、見回っている」
「そうか。そういえば、人が通るぞ。この時間だ、今夜は野営だろうな」
そのとき、黒い影が急に無言となった。
二羽のすずめ天狗が顔を見合わせ、あっという間に姿を消した。
――気づかれたのか?
須田は静かに野営の準備を始める。
地面をならし、落ち葉を集め、焚火の場所を整える。
火打石で火花を散らし、ようやく小さな焚火が灯った。
火の匂いと、パチパチと弾ける音が森の夜に溶け込む。
辰三郎……そういえば、町火消のような服装をしていた。
山火事を気にしていたのも納得だ。
いろんなすずめ天狗がいるのだな。
あの黒い影は、半三か。
みんな名前に「三」がつく……何かあるのか?
須田は焚火の揺れる炎に目を落としながら、
森の音や風に耳を澄ませた。

