稽古は基本技(鎖術)、鎖術、十手術、その他の技の流れで行われます。休憩をとり会話や質問をする時間もとっています。各自の体力とペースに合わせた稽古が可能です。
稽古方法は基本技以外は鎖術を1手、十手術を1手、その他の技を1手といった形式で毎回違う技を3、4手ほど稽古して行きます。当会は技の保存を目的にしている為、初伝、中伝、免許といった技の区別はありますが順番に技を稽古していく形式をとっています。毎回違う技を行っても全ての技を一通り行うには5年ほどかかります。
万力鎖術(萬力鎖)
正木流万力鎖術は、正木利充が宝暦年間(1750年代)に創始しました。鎖の両端に分銅を付けた全長2尺3寸程の物を使用します。打ち、絡み、投げを含む技法により構成されます。流派により鎖術、玉鎖術、鎖十手術、両分銅術、分銅鎖術、分銅鎖術等の別名もあります。
稽古では基本技として納め技、受け技、打ち技を万力鎖を使用して30分ほど行います。その後、万力鎖と同サイズの紐を使用して絡め技や投げ技、固め技などを行います。万力鎖術は対短刀の技が多いですが、刀や槍の対応も行います。
十手術
徳川吉宗(八代将軍)の改革の一環で江戸町方の捕り手術を「江戸町方十手捕縄扱い様」として制定しました。制定するにあたり30流派あまりの十手術を研究しまとめられたといわれます。当会では江戸町方とは別に、十手の房を使用する房絡み、遠山金四郎伝、大阪十手術など伝承しています。
稽古では十手の形、捕り押えたときの早縄術、鈎縄術などを行います。また、十手と逆の手に萎えし(なえし)や鎌、万力鎖などを持った両手の技なども行います。通常は木製の十手を使用しますが、刃引きの刀と鉄の十手を使用する事もあります。下記の写真は房絡みの基本絡めで、紐を手首に絡めて鉤に掛け手首を拘束し、鉤の角で極める十手の機能を十分に活かした技法となります。
手の内術
手の内は20cmほどの棒に紐を付けたもので、名和伝の他、庭師に伝わる御庭番(手の内の名称)の技を伝承しています。御庭番は庭師の技の為、剪定された枝や作業紐を使用した技になります。
当流では鹿の角を使用して御庭番(手の内)を稽古する事が多いです。下記の写真の手首掛けが基本で様々な技に変化します。万力鎖や十手房絡みと同様に手首捕りだけでなく、肘、肩、首などへの極めや締め、当てなどの技法構成になっています。
鎖鎌術
正木流万力鎖術に併伝して鎖鎌術が伝わっています。鎖鎌の鎖は万力鎖の3倍ほどの長さの為、鎖鎌に長ければ、万力鎖の扱いがさらに上達します。また、鎌と鎖が一体の鎖鎌ですが、十手と万力鎖を同時に扱う技法へも繋がります。
稽古では木製の鎌と紐製の分銅を使用します。
その他
刀や槍の扱い、その他の隠し武器も行います。また、修験法螺貝や尺八なども希望に応じて稽古する事があります。