天狗について

天狗の由来

テングは鼻が長くて赤顔、羽があり空をひとっ飛び~。手にもつ羽うちわで強風をまきおこすイメージですよね。テングを漢字でかくと『天狗』 ですが、天の狗(いぬ)??
なにをかくそう、テングは空にいた犬だったのです。大昔の中国の『山海経』って本にイラストがあります。

犬というより、猫に見える・・・。
中国で『流れ星』を表す言葉で、隕石が大気圏に突入する際の空気との衝突音を犬に例える習慣があり、それが天狗という不思議な生物を生み出す元となったのでしょう。流れ星は災いの前兆であるとされていたことから、天狗は邪悪な存在であるというイメージが定着したといわれています。日本では飛鳥時代の『日本書紀』にこの猫、いや、犬のお話しが出てきます。

天狗は神様

天狗は妖怪の一面もありますが、神様として祀られてもいます。由来の項で『日本書紀』 に天狗の記載があることを書きましたが、『古事記』と『日本書紀』に出てくる神様として登場する『猿田彦』が天狗の容姿に似ており、天狗と同一視する考えもあるそうです。猿田彦は鼻の長さは七咫(約126cm)、身長は七尺(約210cm)、口と尻は明るく光っていて、目は八咫鏡のように丸く大きくてホウズキのように照り輝いているとのことだ。

イラストをみると羽がないが天狗だね。 こちらは犬ではなく猿?猿説もあるが、サルタヒコのサタが地名の説もある。猿と関係ないにしてもテングサルと猿田彦は似てるかも。

こうしてみると『日本書紀』には妖怪と神様の両方が登場している事になるね。平安末期までに妖怪の『 空の犬』と神様の『 天の猿』が融合して天狗になったのか? そこは謎だね。

天狗は鳥類か哺乳類か

『平家物語』では、「人にて人ならず、鳥にて鳥ならず、犬にて犬ならず、足手は人、かしらは犬、左右に羽根はえ、飛び歩くもの」とある。 顔が犬ってのもいるんだね。人と狼の融合が狼男?人と魚の融合が半漁人や人魚?河童は亀と人?だとすると天狗は人、鳥、犬といったもの融合になるのだろう。江戸時代の初期に書かれた新陰流の剣術伝書に天狗のイラストがある。

あきらかに鳥人間だね。どうでもよいが、服を着る時は羽はどうするのだろう。手と同じぐらい起用に動くのだろうか。西洋の天使も羽があるが鳥類感はない。

天狗の種類

天狗は鼻が高く赤い顔の 『 鼻高天狗』もしくは 『 大天狗』、鳥の顔を持つ『 カラス天狗』や『 木の葉天狗』 は 『 小天狗』といわれる。狼の姿で犬の口を持つ『狗賓(ぐひん)』は最下層の天狗とされている。カラス天狗が修行中の天狗で、鼻高天狗になるなどの説もある。

左より大天狗、烏天狗、木の葉天狗

天狗になった人

崇徳天皇は自ら己の舌を噛み切り、噴き出した血で呪文を記し、その力で生きながらにして天狗になったといわれています。 怖いですね~。一方、三尺坊といわれる修行により天狗になった人もいます。三尺坊という修験者が厳しい修行の末に、行きながらに天狗となり静岡の秋葉山に降り立ち秋葉三尺坊大権現という天狗の神様になっています。頑張れば生きながらにして天狗になれる希があるという事ですね。死後に天狗になるケースもあります。神奈川で妙覚といわれる修験者が道了大権現といわる天狗の神様になっています。

左より崇徳天皇、秋葉三尺坊大権現、道了尊権現

天狗の持ち物

天狗の修験者の服を着ている事が多い。そして団扇を持っている。もとは羽で作った羽団扇であったが、ヤツデの葉にの葉団扇も使われるようになった。