身体操作

身体操作は合理的な身体の動かし方です。ポイントは「力」の発生、伝達、作用になります。三つのポイントが理解できたら、歩く、走る、物を持ち上げるなど無理のない動作を学んで行きます。

力の発生

姿勢を変化させる事で力を生み出します。また、重力や他からの影響で姿勢を変化させ力を利用する方法もあります。姿勢の変化は内部感覚の軸や丹田を意識する事で効果をあげます。内臓を動かしたり、関節を緩めて外見的にほとんど解らない変化で力を作り出す場合もあります。

姿勢

姿勢は骨格的に強い構造であったり、重力や筋力を有効に活かせる形です。はじめは静止した状態で身体各部の角度などを身に付け、次に「静止状態→動作→静止状態」と動作過程も含め身に着けて行きます。姿勢変化の連続が動作となり、身体を伸ばす、縮む、反らす、丸める、回すなどの動作で力を生み出します。

動く際に意識するとパフォーマンスが向上するラインが軸です。体の中心で背骨のラインのある位置が中心軸、左耳、左鎖骨の付け根、左鼠径部、左内くるぶしを結ぶラインが左測軸、同様に右側のラインが右測軸で、この三本のラインが三軸です。左右の軸を交互に動かす歩き方を二軸歩行やナンバ歩きなどと云う場合があります。中心軸が地面に垂直であれば最小限の筋力で立つ事が出来ます。また中心軸を傾けて不安定な状態を作り 倒れるように動く方法は重力を利用した移動方法となります。

丹田

軸ど同様に意識する事でパフォーマンスが向上する身体的な場所が「丹田」です。丹田は実在の筋肉や臓器ではなくイメージや感覚からなる概念です。日本では臍下の下丹田を重要視し、魂が宿ると考えられています。丹田はその他に心臓の位置の中丹田、眉間の位置の上丹田の三つがあります。丹田は球体で、球体の中心が背骨のラインの中心軸上に位置します。下丹田は人間の重心のある位置で、重心を移動させと力が発生します。また、下丹田を意識知ることで身体が安定し、生命エネルギーの「気」を作る場所と云われています。中丹田は作られた力の方向を変え腕に伝えたり、重心を上げ素早く動く事が可能になります。また、感情操作なども司ります。上丹田はパワーの制御や軸の制御、思考を司ります。各丹田を意識して使う事でパフォーマンスの向上へつなげていきます。

力の伝達

作り出した力を「つなぎ」、「はじき」、「うねり」の三つの簡略化したイメージで伝達します。この三つをバラバラに使ったり、組み合わせたりします。力を伝える際に、体内の伝達路に対して不要な筋肉を使うと、力がせき止められる事があります。脱力を意識する事はせき止め防止になります。

つなぎ

作られた力を固定化する事で力を伝えます。硬直するのではなく構造的に強い姿勢になります。骨格を意識して「つなぐ」方法と、筋肉の捻じりを意識して「つなぐ」方法の二種類があります。つなぐ事で全身の動作を一致させます。それに加え思考と呼吸なども一致させていきます。また、ゆるんだものを固定化するのは難しいです。全身脱力の場合、紐と同様に引っ張る事でつながった状態にして力を伝える方法もあります。

身体を一体化するイメージ
はじき

作られた力を一時的に押さえ、開放する事で瞬間的に力を伝え弾き飛ばします。動作の反動などで力を集約して反発させる方法と、弓を引き絞ったような状態や回転などで力を集約して開放する方法の2種類があります。

腕などを弾き飛ばすイメージ
うねり

作られた力を鞭のようにしなやかに力を波状で伝えます。全身をうねらせる方法と、「はじき」同様に力を一時的に押さえ、開放した部分からうねらせる方法があります。早い「うねり」は末端へ加速していくので物を投げるなどに用いやすく、遅い「うねり」は支点をずらしていくので、一点を酷使しないですむメリットがあります。

身体を波のようにうねらせるイメージ

力の作用

身体操作で伝達した力を他へ与えます。力を他へ加えた場合、反作用が発生し、それを力の発生源として利用する事もあります。また、他からの影響を受けないように伝達を絶つ事も身体操作では重要です。

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