護身術

護身術について

護身術とは危険から生命や身を守る手段です。暴漢と対峙し防衛する手段も一部含まれますが、その状況におちいらない事が護身術の始まりです。危険を未然に察知し避ける、危険な状態から脱出する事が護身術であり、対敵手段は優先度が低くなります。

護身として何をすべきか

護身では安全と危険の境界線を的確に判断できる事が重要です。その為には、広く情報を得て直接影響するもの、ノウハウや判断基準になるものを蓄積しておき、危険と思われる事を避けるようにしていきます。また、敵意を持たせない事で争いを避けられる事も多いです。その基本となるのが挨拶と言っても良いでしょう。挨拶を行う事で、犯罪抑止や助けを呼ぶ際の声出しなどに役立ちます。突発的な危険に対しては、冷静になり、自分の感覚を信じる事です。何かを感じたら慎重になり、行動の前には深呼吸をすると良いでしょう。災害なども含め、危機対応で重要な事は状況把握、判断力、体力です。日ごろよりシミュレーションをしておくと、対応できる可能性が高くなります。想定外の事に臨機応変に対応できる事は優れているとも言えますが、計画と方針をしっかり定め、すべてが想定通りに対応できる事こそ重要です。

危機の察知について

危機を察知するには、五感を鋭くする必要があります。五感とは視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚です。これらを働かせ、普段との違いを感じる事が危機察知へと繋がります。「第六感」や「虫の知らせ」は五感の情報や過去の情報から些細な変化を感じているとも言われます。また、心を落ち着ける事も重要です。心にゆとりがないと変化に気づく事ができません。内面を見つめる事は、自分を知ると同時に他者を知る事に繋がります。相手の気持ちがわかれば争いも未然に防げます。普段から気を配り、ゆとりを持って生活をし、五感を鋭くする訓練、心の内面を見つめる訓練に取り組むと良いでしょう。

危機状況の心のありかた

危機に面した時、緊張や恐怖は体を硬直させ、パニックで判断力が低下します。そうすると状況がさらに悪くなり、回避に影響がでます。スムーズに動く為には無駄な力を入れない事が大切です。日常の状態であれば判断力も衰えず、適切に対応できる可能性が高いです。しかし、危機状態で平常心を保つのはよほどの胆力か訓練がなければ難しい事です。そこで、一瞬で無心状態を作り出し、力みも無くす方法があります。簡単に言えば「火事場の馬鹿力」でスポーツでは「ゾーン」や「フロー」といわれる超集中状態です。すべてを忘れ、潜在能力まで引き出してくれます。この状態を作る簡単な方法が大声を出す事で、助けを呼ぶや悲鳴がきっかけとなります。ただし、無心状態は人間の本質で行動してしまう為、最良の判断とならないケースもあります。平常心と無心を活用できる訓練をしておくのは危機対処に有効です。現在は、メンタルトレーニングなども確立しているので参考にすると良いでしょう。

対敵護身について

暴漢と対峙してしまった場合にどうするか。基本は逃げる事になります。しかし、密閉空間(エレベータ、電車など)では逃げる事が困難で、守るべき人がいる場合は他者も考慮する必要が出てきます。様々な状況で初めに試みるべきは対話、交渉でしょう。時間稼ぎや回避するきっかけを得る可能性にもなります。ただし、時間とともに状況が悪化する事もあるので注意が必要です。突然の攻撃や交渉決別などで戦闘状態となってしまった場合、制圧ではなく離脱を優先に行動する事になります。格闘技や武術の技が活かされるのはこの時ですが、絶対の対処ではありません。半端な対応は相手を逆なでする事になります。戦闘の技法を身に着けるより、知識を知り、走る、飛ぶ、投げるなどの陸上競技をトレーニングする事の方が効果的とも言えます。

対敵護身術の注意点

降りかかる火の粉を何とかする事が対敵護身術だと言ってよいですが、被害者であるにも関わらず、対処によっては加害者となる事もあります。暴漢などであっても、戦意喪失後の加撃は立場が逆転します。また、相手が先に攻撃してきても、怪我をさせれば、過剰防衛となる可能性も大きいです。助ける善意が損害賠償などになるケースもあり、日本では正当防衛の成立が大変難しいと認識しておく必要があります。緊迫不正の侵害が正当防衛で、侵害がありそう、過去にあり仕返しなどで加撃する事は正当防衛にはあたりません。護身術とは一切攻撃しない術と考えておく事の方が良いと思います。

状況判断  

戦闘突入までに状況を把握し適切な判断が必要です。また、人数、地形、環境、天候、時間帯などを考慮し、少しでも有利な状況で行動できる選択が重要です。また相手が金銭、暴行、拉致など意図する目的によって対応が変わってきます。

対敵護身術のポイント

ポイントは空間と時間の2点です。対敵護身では相手との接触を避け、ダメージを受けない事が第一です。接触は力の弱い者には不利です。空間とは距離や位置取りの事で、攻撃の範囲外や威力の無い境界線を見極め、安全を確保します。さらに、攻撃の瞬間と方向がわかれば対処しやすくなります。時間とは、攻撃の起こりや到達時間の事で、動くタイミングなども含まれます。最後に接触状態から活路を見いだす場合は、相手の力の弱い角度や梃子の原理など少しでも有利な状況から押し飛ばすなどの方法で対処しますが、訓練が必要となります。

対敵護身の習得

暴漢などに遭遇した場合、恐怖や驚きで体が硬直したり、震えで身体のコントロールが低下します。複雑な動作や考えて動く事はとっさの時に役に立たない事が多いです。対敵護身に適した術は15分程度の説明と30分程度の訓練で習得できるものが望ましいです。優先度的には、その場から離れる移動術と接触しない回避術が重要になります。それに加え、カバンを盾に使ったり、持ち物を投げるなど、持ってい物を有効に使う知恵と臨機応変な対応を組み合わせていきます。

ジョギングは健康な身体作りと体力維持に有効です。ウォーキングも良いですが、護身では身体のバネが必要です。週に3度ぐらい2kmのジョギングをすると良いでしょう。また、全力のダッシュも定期的に訓練しておくと良いでしょう。 暴漢から逃げる場合、ダッシュで振り切り、人目のあるところへ移動するのが有効です。50mのダッシュは出来るようにしておきましょう。

武術と護身術の違い

武術の攻防技術が護身術でも効果的な場合があります。しかし基本的には別物で、護身術は逃げる為の技術として訓練しなければなりません。護身術として攻撃練習をするのであれば、攻撃パターンを知り回避率をあげる為です。攻撃でひるんだスキに逃げるなど考えず、防御に徹して逃げる事を考えましょう。正しく長期間の修練があってこそ相手に有効な攻撃が出来るようになります。中途半端な攻撃は相手を逆上させる原因となります。守りながら走る技術から学ぶのが望ましいでしょう。

護身グッズについて

護身グッズとして販売されている物の中には、所持していると危険物所持となる場合があります。銃刀法は明確な基準がありますが、軽犯罪法は曖昧で、その場の状況で変わります。特殊警棒、スタンガン、催涙スプレー、クボタンなどは注意しましょう。ドライバーやハサミなども理由なく持ち歩く事は危険です。適した護身グッズとは、日常持ち歩く物でとっさに使える物となります。フラッシュライト、手ぬぐい、ボールペン、文庫本、ペットボトル、缶の飲料物、カバンや小銭など使い方で十分護身グッズとなります。護身グッズは、奪われてこちらが不利な状況になる事も考慮しましょう。

※軽犯罪法第1条2項 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他、人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者 。

まとめ

護身術とは安全と危険の境界線を的確に判断し、保身する手段で、暴力対策だけではなく、事故や災害まで含んだ広い範囲となります。普段から情報収集、心構え、体力作りなどが大切で、服装、持ち物、行動を意識して生活しましょう。戦闘能力をあげるより情報処理能力、現状把握能力、対話能力などを身に着ける事は、社会生活でも成功するメリットになり得ます。

この機会に感じた事、取り組み、準備する物などを考え、護身の第一歩を踏み出しましょう。 護身術は危機からの保身手段である為、戦闘に陥る事は判断ミスと言ってよいでしょう。その状況に陥った時に、いかに離脱するかが対敵護身術であり、鍵となります。格闘技、武術、護身術の違いを知り、格闘技や武術を学ぶ事も参考になります。障害物なども想定した移動術のパルクールは優れた護身術となります。


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