鎖術はなぜ広まらないのか

万力鎖を中心にどうすれば鎖術が普及するかを検討してみました。

鎖術の稽古人口の少ない理由

現在、鎖術を稽古している人口は極めて少ないと思います。その要因は大きく3つあると考えています。

要因1 悪いイメージ

まず、「鎖」の印象が悪いイメージだからではないでしょうか。鎖は拘束する物であったり、映画や漫画、小説などで鎖武器を使うのは敵役が多いです。暴走族やヤンキーなどが持っているイメージもあります。かっこよく鎖を使うヒーローが現れると印象が変わるかもしれません。

要因2 入手困難

次に、鎖武器が手に入らないのも要因と考えられます。入手できても高額です。基本的には特注となり、作成する職人を探すのが大変です。万力鎖であれば分銅の部分は比較的容易ですが、鎖を特定の形と大きさに一つずつ作成するのは手間がかかります。1,500円ほどの低価格で販売しているものがありますが、分銅と鎖の接合部分が弱く分銅が飛んでいく危険性があります。また、市販の鎖は引っかかりなどが生じ、重要な場面で伸びきらない可能性もあります。素材や強度など流派としての基準を満たすものは入手困難となります。

要因3 習得困難

最後に扱いが難しいのも要因となります。万力鎖は振り回して目標に当てるイメージがありますが、当たった場合に跳ね返ったり、予想のつかない動きになり制御不能になります。補助武器であれば主武器へ持ち替えるなど考えられますが、正木流では万力鎖が主武器です。攻防において2、3手の連続攻防を考慮する必要が出てきます。正木流の場合は振り回す打ち技よりも、鎖を相手に絡めて投げる、固める技法が多いのは、万力鎖が制御不能になるリスク回避の一つです。

主武器、補助武器の考え方からすると鎖鎌は鎌と鎖分銅の二つを合わせたものです。当会の鎖鎌術の型5本は全て鎌で極める為、主武器が鎌と言って良いでしょう。鎖鎌は鎖を相手や武器に絡めて使う事がありますが、逆に相手に鎖を掴まれ自分が体勢を崩す事があるのでとても難しいです。

鎖武器を人気武器へ

鎖武器はどのようにすれば人気が出るのか。鎖に対する良いイメージ、扱うメリットなどアピールができたら普及していくのではないでしょうか。鎖武器は万力鎖(鎖分銅)、鎖鎌、乳切木、スルジンなどがあります。どれか一つでも脚光を浴びれば鎖武器の人気が出てくるのではないでしょうか。

鎖武器のイメージ改善

鎖は「強い絆」の象徴として考える事ができます。また、形状から龍をイメージする事ができます。絆や龍をアピールするのもイメージ改善になると考えます。

道具への応用

万力鎖を修練していると縄状の物の扱いが上達します。組紐や手ぬぐいなどでも同様の技が可能になります。万力鎖が護身グッズではなく、修練した結果で組紐や手ぬぐいを使って護身が出来ると考えるのが良いでしょう。

臨機応変な対応

鎖武器は制御不能になったり、技をかけるのが難しいですが、逆の発想をすれば、臨機応変な対応が求められます。技が一期一会といっても良いでしょう。修練していると物事に執着しないで対応できるようになっていけると思います。常に自由な発想が出来るようになるでしょう。

物事の追求

臨機応変や一期一会について述べましたが、変化ばかりではありません。予想がつかない状態を同じ結果となるように修練をするのが型稽古になります。様々な状況を観察する事や求める結果になるまで根気よく修練する事は人生に活かされていきます。

まとめ

鎖術についての魅力はなかなか伝える事ができません。しかし、この記事を読んでいる方は鎖武器が気になる人だと思います。鎖術の認知度をあげ、人気武器の仲間入りができるようにご協力下さい。

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